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ベルリンの壁で恐怖体験!

 それは74年の冬でした。当時 私は西ドイツに在住し、ある日①社会主義の赤

に浮かぶ自由主義の砦 西ベルリン探訪 ②フンボルト大学(東ベルリン)に

留学中の知人訪問 ③旅企画の情報収集 を目的にハノーバーより夜行列車に

び乗りました。 数時間後の深夜、列車は暗黒の世界に不気味に光る空間へ

と静かに入り、そこは緊張走る東西ドイツの国境駅でした。

しばらく待つと数名の兵士用犬を引き連れ車両内に入り、徹底的な荷物調

べを行い、更に軍用犬は西へ向かう列車の台座下とレールの間を這い廻り、隣

席の乗客に訊けば「列車の底に東からの亡命者が張り付いてないか調べてる」

との話。今更ながらいつ戦争勃発しても不思議でない軍事境界線の実際を実

しました。

 列車は早朝ー15度の寒さの中 西の中央駅ZOO(ツォー)に到着し、私はまず

西ルリンの繁華街クーダム通りへ行きましたが、そこは人も物も自由諸国の

都市変わらず活気もあり少し拍子抜けしました。しかし歩を進めればブランデン

ブルグ門の両側から初めて見る巨大な分断の壁が延々と続き、監視塔や鉄条網

の内側には東側兵士が武器を抱えて何十人も立ち、壁向こうのビルの窓は全て

メントで閉ざされ、まさこれが分断の姿かと息を呑みました。

 そして翌日いよいよ東ベルリン訪問(と言うか突入)、西から東へは分断前から

あるU-Bahn(地下鉄)の一区間を使い唯一の東ベルリン側玄関口フリードリッヒ

シュトラーセ駅に入ります。そして改札出口前の通関検査場でパスすれば5マル

ク(500円)払い24時間査証を貰いようやく外へ、勿論 東側住民は西へは行け

ません。で、留学中の知人尋ねてフンボルト大学へ行った訳ですが結局 毎日

この24時間査証を持ち4日も東西往復し彼の寮に泊まりました。

 

 その滞在中、好奇心だけは旺盛な私が東ベルリンの端まで行き(それ以遠

の東独エリアへは切の外国人進入禁止)見た光景は郊外の駅周辺に第二

次大戦の傷跡か、多くのビルが瓦礫の山と積まれたまま、日本は東京・札幌

オリンピックや大阪万博も終わり高度成長期の時代。しかしここには戦争の

残骸が寒風の中 放置されていました。 

 更に私の好奇心は夜の東ベルリン市内にも向かい、薄暗く人影もまばらな

街路を歩き、気付けば北朝鮮大使館の前を通ったりとよく不審者逮捕されな

かっものだと今思います。そんな中、驚いたのがこんな共産圏の街にも深

夜まで営業してるディスコやパブがあり中に入れば多くの若者が騒いでおり、

そこに突然現れた東洋顔の私を見て店内は一瞬静まり返りました。

しかし彼らと同年代の気安さからか、スグにその警戒心も解け、後は「よく来

た、乾杯、乾杯!」の嵐。そんな思いがけぬ宴の中、気付いたことは彼らの

質問が「ハワイはどんなとこ?服は何が流行ってる?」など興味と憧れ混じり

の自由諸国への質問ばり、こんな頃から既に社会主義崩壊への下地と予

兆はあったようです。

 そんなこんなで結構楽しく過ごせた東ベルリンも4泊し5日目 西に戻る時に

恐怖体験は起こりました。当時 西から東へは上記のUーbahn利用ともう1つ

チェックポイントチャーリーと言う車や徒歩で出入り出来る検問所があり、私の好

心は「一度 この検問所を通りたい」となりノコノコ入りました

 そして検問所で旅券提出したところ、暫く間があり突然「こちらの部屋に入

れ」との指示。別室に進むと次は「服を全部脱げ」、最後はパンツ1つの状態

で「部屋壁に両手を挙げ張りつけ」となり、ここで初めて自分に降りかかる

危険と異常事態を察知したがもう遅い。 周囲を見渡せば入口には自動小銃

肩に兵士が立ち、部屋のにはベルリンの壁をよじ登る人の射殺写真や改

造した車のガソリンタンクに身をし逃亡図る亡命者の摘発写真。それを見

た時 妙に平静な気持ちで死への覚悟をしました。人間追い詰められると恐

怖心も消えてしまうのか、とにかく取調べ官の戻りを静かに待ちました

 

 そうこう待たされた2時間後、取調官が戻ってきて今度は「服を着ろ、出て

もよい」言いつつ荷物も放り返してきた、予想もせぬ驚きです。訊けば

証や出入国印がバンバン捺された旅券を見て不審に思ったとの話、確かに

立場変われば私もそうするしょう。結局はスパイ活動や政府転覆狙うほど

の器でもないと評価されたのかれて再び西ベルリンと自由主義の空気が

吸える身となりました。後で思えば笑い話にもならぬ恐怖の2時間でした。

 

 あれから35年、そんな体験をした身からすれば先日の世界陸上ベルリン

会のマラソンで優勝ランナーが東からウンターデンリンデンを走り抜け、

壁も兵隊もいない分断の象徴ブランデンブルグ門を一気に西へ飛び込む姿

に心から感しました、やはり平和はいいものです。 

 そう思えば国対国には色々喧嘩の事情もあるでしょうが「平和を核や武器

や暴力で守る」というのもどこか狂ってますね。それともう1つ、好奇心持つ

のもほどほどにしましょう。

 またHPにもお越し下さい。

 URL http://homepage3.nifty.com/tabinochiebukuro/

 

 

 

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